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まめまめ伊那谷日記

手作り醤油から考える

伊那谷では醤油を手作りする「手作り醤油」が流行っている。流行っていると言うよりも、皆さん既にその技術を自分のものにされているようだ。

醤油を手作りしている友人たちはIターンの方が多い。(私は作っていません)
それは、ずうっとここ伊那にいて、いろんな人の移り変わりを見てきた何も変わらない私にとって、自分たちの思いを次々に形にして実現していく彼らをちょっぴり羨ましく。味噌や漬物ならいざ知らず、今度は醤油造りまで!
って本当にすごい。

大量生産で原材料が何なのかもわからないようなリーズナブルなお醤油(醤油だけでなく)が、シェアを占めたのは、
作り手や売り手が、「醸造発酵の文化」を伝えてこなかったことも一因であったと思う。

しかし、よくしたもので、大量生産低価格志向のベクトルが長くなると、必ず逆の潮流が生まれるということが私の周りの若い人たちを見ていても思うことで、励まされる。
手作り醤油もそんな流れの中で起こるべくして起こったのだ。

なんだけど、「うちで醤油を買ってくださっていた数少ないお客様=手作り醤油に興味を持つ」
「量販店でお醤油を買われる方=手作り醤油には興味を持たない」
といった法則が成り立ってしまうので、やはりそこは苦しいところだ。(最初の年はそう思ったけれど、実はそんなに大きな影響はなかった。お醤油のお客様はむしろ増えている。たぶん。)
何百年も前から、そして高度経済成長にも流されることなく、まっとうなお醤油を作り続ける蔵元さんには、いつまでも存続してもらいたいから。

先日、今年初めて醤油作りをしたという友人と話をした。
彼女は「作ってみて本当によかった。知らなかったことを知ることができたから。」と。そして、
「蔵元のお醤油のような深みには足元にも及ばない。それがわかった。でも10年やってみる。絶対来年はもっとおいしくなるようにする。でも私がやったところで10年なんだよね。」と清々しく話してくれた。

「自分で作ってみる」ということが大きな学びと喜びをもたらす。定期的に様子を見たり、発酵する過程を実感したり、それはいとおしくていとおしくて、ご愛念いっぱいで歓びのエネルギーが詰まっていて文句なしにおいしいに決まっているのだ。そして私はそのことをちっともわかっていなかったのかもしれない。

いつでも、お醤油にしろ、お酒にしろ、甘いとか辛いとかこくがあるとかキレがいいとかバランスがいいとか悪いとか雑味があるとかといった、「商品」として見ているから。そういう見方に慣れてしまっているから。

「商品」を売ることを生業としている自分。大事なものを見失わないように。

何年も野菜を定期的に購入しているTさんの通信に、
「お金と離れた仕事はなぜか気持ちがいい」
そのくだりにハッとする。

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